僕のための記録帳

はるなつあきふゆ

ラオス 埃と誇②

ヴィエンチャンは、20年前のバンコクだった。

 

もちろん僕は、20年前のバンコクはおろか、20年前の東京すら知らない。だが、きっとこんな風だったろう。首都ヴィエンチャンは、人とバイクとトゥクトゥクで、尻込みするくらいごった返していた。1呼吸につき3クラクション。普段の声量では自分の言葉すら聞こえない。排気ガスと乾燥(3月は乾季真っ只中)。コンタクトは瞬きを待たずに瞳から落ちた。その亡骸を拾う間もなく詰め寄ってくるドライバー達。